プロフィール
Tim Pagnotta (ティム・パグノッタ/Vo., G.)
Airin (アイリーン/B., Vo.)
Marko72 (マルコ/G.)
Kenny Livingston (ケニー・リヴィングストン/Ds.)
new album LIGHTS OUT
-STORY-
3年間で6度に渡るツアー来日を実現したバンドはどれだけいるだろうか?大型ツアー・バンドのサポート、フェスティバル出演を含め日本への訪問をこれだけ重ねながらも、来るたびに彼らのステータスはレベル・アップする。ファスト、ラウド、メロディックの3拍子がすべて揃った痛快チューンの「スタック・イン・アメリカ」で打ち上げ花火のように現れ、ザ・ビートルズの中でも最も著名な代表曲「ハード・デイズ・ナイト」をかつてないドライブ感溢れるカバーでモダン・ロック・サーキットのポールポジションへ一気に爆走。それが、カリフォルニアはサンタバーバラ出身、現在ロサンゼルスに拠点を置く4ピース・バンド、シュガーカルトだ。
2003年、アメリカの発売から10ヶ月ほど遅れて日本でビューとなった1stアルバム『スタート・スタティック』から翌2004年全世界で同時期発売となった2ndアルバム『パーム・ツリーズ・アンド・パワーラインズ』まで一気に駆け抜けた第一ラウンド。彼らがこれだけの回数を重ねて来日している以外のスケジュールといえば、レコーディング時期を除いて、ほぼ毎月アメリカ、ヨーロッパとツアーに明け暮れるこの数年だった。中には住む家を持つことさえ意味がなくなってきたというメンバーもいるほど、彼らの日常生活と言えば、旅をしてまわることに尽きていた。ツアーの規模も年々レベル・アップし、小さなコミュニティーが点在するパンク・ロック・シーンのみでは収まらなくなってきたシュガーカルトの音楽性の幅広さと発展は西海岸のパンク・コミュニティーだけで活動するにはファンにとっても物足りなくなってくるまでに成長した。2004年、全米のみならず、ヒップホップ、R&Bやアイドルなどすべてのシーンを押さえ、セールス、話題共に世界中を席捲したグリーン・デイの『アメリカン・イディオット』の全米ツアーでのサポートに選ばれたてからシュガーカルトに対してアメリカのメディアは見方を大きく変え、バンドにとっても後戻りできない次のレベルへ挑むための大きな弾みとなった。
西海岸で青春時代を過ごしたシュガーカルトがリアルタイムに共有してきた音楽シーンの主はやはり90年代のメロディック・パンクであり、バンドのスタートがやはりそういったシーンの延長上であったことは事実でありながらも、メンバー一人一人の影響を受けたバックグラウンド、メンバー全員が共有したバックグラウンドは非常にバラエティに富んでいた。ティムが最も敬愛し影響を受けているのは新旧幅広くシンガーソング・ライターたちであり、特に若い頃にエルビス・コステロの初期作品には大きく心を動かされた。マルコは80年代後半の申し子とも言えるテイストが彼の佇まいにも表れるように、チープ・トリック、バズコックス、ニューヨーク・ドールズそしてザ・クラッシュなどを愛して止まない。アイリーンに至っては、クラシック・ロックの王道:レッドホット・チリペッパーズ(特にジョン・フルシャンテ)、ニルヴァーナそしてザ・ビートルズでありながら、ポスト・ロック的な新しいシーンやサウンドに最も鋭敏でもある。ケニーに至っては、職人技に近いドラム・プレイで多くのバンドとプレイしてきた経歴がこうした様々なテイストが入り混じるシュガーカルトのサウンドをテクニカルに一本化させる力と感性を発揮させている。
その、豊かな多様性は作品を重ねていくごとに意外性と共に明らかにされ続け、この3rdアルバム『ライツ・アウト』で決定的にひとつの形として現すこととなった。
“「スタート・スタティック」は僕らの第一声で、「パーム・ツリーズ・アンド・パワーラインズ」は自分たちの進化の過程であり、この「ライツ・アウト」はバンドにとっての転換期に当たる作品なんだと思う”
(ティム・パグノッタ)
成熟したサウンドや今までには突出しなかったメロディラインなどを、ドラマティックな方向転換と受け取るよりも、これがシュガーカルトの結成から8 年目にして迎える真のゴールデン・タイムであり、よりモダンなロック・バンドとしてたどり着いた場所ととらえるのが賢明と言える傑作に仕上がった。クラシックなソングライティングと洗練された発展性のバランスをキープしながら、このアルバムはトレンドに迎合したのではなく、シュガーカルトととしてのモダンを徹底的に追求された楽曲で集約された。
フー・ファイターズ的ハード・ロックなアプローチの「デッド・リヴィング」(M2)や「ライオット」(M8)、優艶なバラード「インヴェスティゲーション」(M11)からクラシカルなポップ・トラック「シェイキング」(M10)、そしてポスト・ロックな「ロサンゼルス」(M3)、「エクスプロード」(M5)や「メイド・ア・ミステイク」(M7)など、まるで機能性、スタイル、風合いとすべてバランスよく盛り込まれ、様々な引き出しを持つモダンなチェストのような作品。一曲一曲の完成度はもちろん、一枚のアルバムとして非常に美しく作られている。
「スタック・イン・アメリカ」〜「メモリー」、そして企画シングルとしての「ハード・デイズ・ナイト」までシュガーカルトの各時代を象徴してきた歴代シングルに続き、この新境地『ライツ・アウト』時代=現在進行形のシュガーカルトを巧妙に表現するのが、ベスト・ニュー・シングル「ドゥ・イット・アローン」(M4)。これまでのシングルに続いて、感染性の高いキャッチーなメロディーはパワーアップ、最もシングルらしい楽曲としてアメリカでもラジオ・ヒットの期待が大である。そして、歴代シングル始めシュガーカルトのシングルが強烈な印象を残す理由が、ティムのソングライティングのもうひとつのオリジナリティに要因する。彼の生み出す独特な言葉のラインがメロディックなサウンドをより一層引き立てている。アメリカのみならずいつの時代も感じる若者の日常の退屈さを歌った“Stuck in America, lost in Americ”(この国で足止めを食い見失っている/「スタック・イン・アメリカ」)、続くことのない恋愛関係の苦さを叫んだ“Can I be your memory? ”(キミの思い出にしてもらえるんだろうか?)/「メモリー」、そして、この「ドゥ・イット・アローン」は真剣な関係に足踏みし、往々にして虚しさが後に駆りたてられる愛のない気楽な関係をに逃げ込むんでしまう “I got time just to waste, if you would be my new escape”(ボクの新たな逃げ場になってくれるなら時間を無駄に過ごすのも構わなかったんだ)、でも独りじゃいられないという、まだ大人になりきれない男性の本音を語る意外な歌詞。キャッチーでアップリフティングなメロディに、ディザスターな歌詞が滑り込むのも、このティム・パグノッタの持ち味である。ニュー・ウェーブなヴィアブもスパイスとしてハーモニックなサウンドを実にモダンに仕上げている。
これまでとは違う何かを感じさせる『ライツ・アウト』を制作するにあたって、バンドの中で明確になっているものがいくつかあったようだ。
“これまでボクらが位置づけされていなかった、そしてボクら自身が向かおうとしなかったところへ、連れて行ってくれる曲を作ろうっていうことは随分前の段階から心に決めていたんだ。”
(ティム・パグノッタ)
“ほとんどの曲が、様々な人間関係、セックスと後悔のようなことについて書かれているかな。同時に、「アウト・オブ・フェイズ」のように現代社会から排除されたような感情を描いたり、「ロサンゼルス」では、十人十色の定義で自己確認をさせるLAに対してラブ&ヘイト(愛憎)な感情を表現した曲もある。”
(マルコ72)
甘酸っぱい恋愛や挫折感を描く青春劇から、実際にそういった経験から現実の厳しさと美しさの両サイドを目の当たりにして成長した、シュガーカルトのバンドとして、そして人間としての現在進行形を等身大で投影したソングライティングや歌詞で質高く生まれた12曲に加え、日本盤には昨年、日本のみでリリースされた大ヒット・シングル「ハード・デイズ・ナイト」と、新録エクスクルーシブ・ソング「フリージング」がボーナストラックとして収録される。
キャリアの分岐点とバンド自らが語るこの新作アルバムは、シュガーカルトにとってこれまでの頂点を極めるものというよりも、むしろ自分たちのこれから新たにスタートする歴史のスタート地点であって欲しいと彼らは願う。
“このアルバムを制作している間に、これまで自分が疑問に感じていたことが一気に解き放たれてきたんだ。人生において完璧なものなんて存在しない、だから今は不完全な美しさが愛おしいと心から思える。今後また見失った時にそれを思い出せるように、わざと誤答の方程式をタトゥーにして自分の腕に入れたくらいだよ。”
(ティム・パグノッタ)
“ボクらが影響を受けたアーティストはみな常に進化の過程を怠らずに大きな功績と成功を手にしてる。コステロもそうだし、クラッシュなんて本当に模範的だ。目先への執着ではなくて、彼らの財産価値を生み出す進化を成し遂げている。こうしてボクらが生み出していくアルバムや数々の曲は、自分たちよりもずっと長く生き続けていくということに気づいたんだよね。”
(マルコ72)
プライベートな面でも各々が成長の過程を遂げるドラマやイベントも手伝い、この3rdアルバムと向き合い対話を心からしたことで、シュガーカルトのバンドとしての理想も風格も大きく成長したようだ。こうして彼らの口から晴れやかに語れる明確な進化とそれに対する確かな自信を再確認できるのは、この傑作『ライツ・アウト』を耳にすることに尽きる。シュガーカルトの過去、現在、そして未来のすべてをこの最新作がしっかりと語ってくれる。秘められたシーンの陰からスポットライトへ移行するこの作品、実はライツ・オンと呼ぶのにふさわしいほどの眩いロック・アルバムとして全世界に先駆けここ日本に上陸する。
(オフィシャルウェブサイトより・2006年7月現在)

